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2008年度の研究テーマ

本研究室で,博士課程・修士課程および学部4年生が取り組んでいる主な研究テーマの紹介です.

天然繊維糸を強化材としたグリーンコンポジットの機械的性質
 D3中村理恵,B4竹並広人,B4橋本和幸
 本研究は,天然繊維と生分解性樹脂からなるグリーンコンポジットの用途拡大をめざし,長繊維である紡績糸を強化材としている.繊維工学分野において,繊維を集合して,撚りを加えた紡績糸は衣服などに使われており身近ではあるが,その特性は繊維の形状(繊維長,太さ,繊維の形態,硬さ,強度,ひずみ,摩擦係数など)と糸の構造(太さ,撚り数など)が複雑に絡み合っているといわれている.また,織布の力学特性が,繊維の性質のみならず,構成糸の構造(太さ,撚り数など)や力学特性(引張,圧縮,曲げなど),さらに織構造(平織,綾織,朱子織など),織物密度(経糸数,緯糸数)に深く係わることが指摘されている.まず,これらのパラメーターが樹脂と複合化させた場合にどのような機械的性質を示すかを明らかにした.
 また,応用として,深絞り成形にチャレンジしている.
 今後は,天然繊維糸の撚りについても調査します.
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CFRPの機械的特性に及ぼす繊維配向不良の影響
 D2任保勝,B4宮崎大典
本研究は一方向CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)の機械的特性に及ぼす繊維配向不良の影響に着目したものである.これまで繊維を伸張させずに作製したCFRPでは十分な強度が得られていない. これは,材料内部の巨視的な繊維のうねりや局所的な繊維配向の乱れに起因すると考えられる.この二種類の繊維配向不良ついて検討し,強度特性に及ぼす影響について実験的に検討する.
また,巨視的な繊維のうねりの影響について積層板理論を用い考察する. 局所的な繊維配向不良について,繊維軸から傾斜して位置する配向不良繊維に対するシアラグモデルを提案し,繊維応力分布に及ぼす影響について考察する.
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ラミー麻/PP複合材料の強度特性に及ぼす単軸負荷効果
 M2伊藤昌弘,B4松重健一
 21世紀の最優先課題として大量生産・大量廃棄型社会から資源循環型社会の構築に向けた研究・技術開発の確立が求められている.広い分野で使用されている繊維強化プラスチックの分野において,母材を熱可塑性樹脂または生分解性樹脂,強化剤に天然繊維を用いたグリーンコンポジットはリサイクル可能で廃棄時に負荷が少なく関心が高まっているが強度特性が弱いという欠点がある.
 本研究では母材にリサイクル可能なPP,強化材に天然繊維の中でも高強度なラミー麻短繊維を用いたグリーンコンポジットを押出し成型にて作製し,単軸方向に負荷を施すことで荷重方向の強度を高め機械的特性を向上させることにより,地球にやさしく実用的な材料の創製を試みた.
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竹繊維グリーンコンポジットの創製と強度評価
 M2小林大将,B4Mohd Faizal Bin Hashim
 本研究では竹材の優れた強度・剛性をGC強化材に適用することを目的とし,プレス成形法によって竹繊維と生分解性樹脂の複合材(グリーンコンポジット)を作っている.装飾性の付与と接着力の向上を目指し,竹繊維の染色処理などを行い機械的特性に及ぼすこれらの処理の影響を考察した. イメージ

SiC/SiC複合材料の疲労強度特性
M2花表裕司,B4小溝陽平
 近年,炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素(SiC/SiC)複合材料は,耐熱性と力学特性に優れており航空宇宙分野などでの適用が期待されている.共同研究を行っている宇部興産(株)では,強度および靱性の向上を目的として,C(炭素)およびBN(窒化硼素)を界面層に持つSiC/SiCミニコンポジットを開発している.しかし,この材料の疲労特性の評価はほとんど行われていない.本研究では,SiC/SiC複合材料の基礎的な疲労特性の解明を目的として,引張疲労試験を実施している.
 ※セラミックス基複合材料は,繊維の引き抜けを発現させることで高強度・高靱性な材料にすることが可能である
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サンドイッチ構造を有するラミー麻織物複合材料の作製と強度評価
M2原口慶樹,B4黒瀬司
 近年の様々な環境問題は21世紀の材料開発の在り方に大きな転機を投じようとしている.最近では廃棄時の環境負荷が大きいガラス繊維の代替材として,天然繊維を用いた複合材料の研究・開発が進められている.このような背景より,本研究ではハイブリッド複合材料の一種であるサンドイッチ構造に天然繊維ラミー麻を適用した.強化形態を織物構造とし化学処理および織物密度による特性変化を調査し,曲げ特性および衝撃特性についてガラス繊維との比較検討を行った.

(A)→(B):曲げ強度23%増加,曲げ弾性率22%増加
(A)→(C):曲げ強度11%増加,曲げ弾性率6%減少
(A)→(D):曲げ強度126%増加,曲げ弾性率255%増加
このように織物密度を変えることで,サンドイッチ構造において強度・剛性の向上が実現できる.
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竹粉/PP複合材料の機械的性質に及ぼすひずみ速度の影響
 M2姜 涛,M1胥 鵬
 竹は繁殖性が強く,竹害も多く報告され,その適切な処分が検討されている.本研究は竹を加工する際に生じる竹粉の処理方法として強化材としての利用を目的に,ポリプロピレン(PP)と複合化し,これを二次構造材等に適用することを目的とした.この種の研究はこれまで多々見られるものの,機械的性質に及ぼすひずみ速度依存性に着目した研究は僅かである.
そこで,本研究はひずみ速度を9.26×10-1から9.26×10-4に変えてこの材料の機械的性質の変化を調査した.
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CFRP積層板における繊維の周期的配向不良が強度に与える影響<強度シミュレーション>
 M1安達良和
 CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の適用範囲は航空機および自動車の構造部材にまで拡大しており,その利用形態も平織クロスや擬似等方性積層板など様々である.
 そこで本研究では,CFRP積層板の繊維の周期的繊維配向不良による強度への影響の解明を目的として,3種類の試験片(平織0°方向材,平織90°方向材,一方向材)について引張試験を行い基礎物性の測定をするとともに,有限要素法を用いた力学モデルを構築し,その破壊過程に関する数値解析シミュレーションを行う.
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Azmi
準備中
準備中
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天然繊維の断面積変動を考慮したグリーンコンポジットの強度評価
 M1寺崎佑次郎,B4市谷健祥
 グリーンコンポジットの強化材として使われる天然繊維は,繊維長手方向の断面積変動および複雑な断面形状(図1)を有する.このため,繊維およびグリーンコンポジットの正確な強度の予測は難しい.本研究では,レーザー寸法測定器(図2)による多方向からの繊維投影幅の測定および引張試験を行い,断面積とその変動および強度を測定する.さらに,ワイブル分布に基づき繊維の強度分布の特徴を捉え(図3),これらをもとにグリーンコンポジットの強度予測を行う.

※繊維にレーザー光を当てることにより,投影幅(見た目の太さ)を測定することができる.測定器は繊維を中心に回転できるので,多方向からの投影幅を測定でき,おおよその断面積が算出できる.

※クラワ繊維の強度と生存確率を右図のようにプロットする.得られた近似直線の傾きと切片から,強度分布の特徴を知ることができる.

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Si-C系多孔質Al2O3セラミックスの強度評価
 M1長廣佳,B4桑野敬太
 多孔質セラミックスは,耐熱性,耐薬品性に優れている.また,気孔率を増加させることによって,断熱性の向上や軽量化などが期待できる.しかしその反面,強度が著しく低下する.また,低靭化することが考えられる.そこで,Si-C系繊維を強化繊維とすることで高強度・高靱性の多孔質Al2O3セラミックス複合材料を創製することを試みた.そして,曲げ強度試験及び破壊靱性試験を実施し,この材料の強度特性について検討する.
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